12月16日
筋肉から分泌されるホルモンを味方に付けるしかない
骨格筋から分泌される「マイオカイン」は、いま世界中で注目されている“筋肉ホルモン”です。
マイオカインは、単に筋肉のためだけでなく、肝臓・膵臓・骨・血管・脂肪組織・脳・皮膚 など、全身の臓器に働きかけるシグナル物質として機能します。
マイオカインとは?筋肉が持つ「分泌臓器」としての顔
骨格筋は「動かすための組織」であると同時に、ホルモンを分泌する臓器(secretory organ) でもあります。
マイオカインは、運動に応じて分泌されるホルモンで、以下のような形で働きます。
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オートクリン作用:筋肉が自分自身に作用
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パラクリン作用:近くの細胞・組織に作用
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内分泌作用:血流に乗って全身へ作用
その結果、筋肉からのシグナルは、
脳・脂肪組織・骨・肝臓・腸・膵臓・血管・皮膚 など、多くの臓器に良い影響を与えます。
マイオカインの主な作用
マイオカインには、次のような多面的な作用が報告されています。
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体重調整:エネルギー代謝を整え、肥満予防に寄与
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インスリン感受性の向上:インスリン抵抗性を改善し、2型糖尿病の予防・治療に役立つ
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糖・脂質代謝の調整:中性脂肪・血糖コントロールの改善
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認知機能の改善:脳の健康を守り、認知機能を高める可能性
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骨密度低下の予防:骨代謝に関わり、骨密度の維持をサポート
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筋肉の保護・強化:加齢に伴う筋萎縮(サルコペニア)を防ぐ
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免疫機能の改善:炎症を抑え、免疫システムをサポート
一言でいえば、
運動 → 筋肉 → マイオカイン → 全身の健康
という流れをつくる、要となるホルモンです。
運動とマイオカイン:動かないともったいない
マイオカインは、運動によって初めて本格的に分泌されます。
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からだを動かす
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筋肉が収縮する
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マイオカインが分泌され、全身へシグナルを送る
この連鎖によって、
糖代謝・脂質代謝・心血管系・脳機能・メンタルヘルスなどが総合的に整えられます。
特に、マイオカインは
BDNF(脳由来神経栄養因子) の産生を促すことが示されており、
脳機能・記憶力・学習能力の改善にも関与すると考えられています。
抗炎症作用と生活習慣病予防
慢性炎症は、動脈硬化・糖尿病・肥満・認知症など多くの疾患に関わることが知られています。
マイオカインは、
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抗炎症作用
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代謝改善
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心血管系の保護
といった面から、生活習慣病予防の強力な味方になる可能性があります。
EKOフィジカルが大切にしていること
EKOフィジカルでは、このマイオカインの力を最大限に引き出す運動デザインをとても大切にしています。
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激しすぎない
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しかし「筋肉がきちんと働く」ラインを見極める
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個々の関節可動域や筋力に合わせて、無理なく継続できる体操を組み立てる
これは、単に筋肉を鍛えるためのトレーニングではなく、
「筋肉を通して全身に良いホルモンを送り出す身体づくり」 そのものです。
最近では、さまざまな企業やメディアでもマイオカインが取り上げられるようになりました。
一般向けの記事も増え、分かりやすい解説も多く出てきていますので、興味のある方はぜひ調べてみてください。
運動を「やらなきゃいけないこと」から、
「自分で自分を治すホルモンを出すための時間」 として捉え直してみると、
少しだけ取り組みやすくなるかもしれません。