体のサビ=AGEとは?骨粗鬆症との関係と対策を医師が解説


体のサビの正体|AGE(終末糖化産物)と骨粗鬆症の深い関係

前回の記事「皆さんの勘違い」では、鉄のサビと健康商法について触れました。今回はさらに踏み込んで、「体のサビ」と呼ばれる AGE(終末糖化産物)の正体と、骨粗鬆症との関係について解説します。

■ 「体のサビ」とは何か?

医療現場では、体内で起こる酸化・糖化反応によって生じる有害物質を「体のサビ」と比喩することがあります。その代表例が AGE(終末糖化産物) です。

■ AGE(終末糖化産物)とは

AGE は、体内でタンパク質と糖が結びついてできる老化関連物質です。過剰な AGE の蓄積は、血管、皮膚、骨など多くの組織に悪影響を及ぼします。

■ AGEが骨に与える影響|4つの主要ポイント

① コラーゲンの劣化

骨のしなやかさを保つコラーゲンが AGE により劣化し、骨が脆くなります。

② 骨代謝バランスの崩壊

  • 骨をつくる「骨芽細胞」を妨げる

  • 骨を壊す「破骨細胞」の働きを促進する

その結果、骨代謝のバランスが崩れます。

③ 骨の物理的強度の低下

AGE の蓄積は骨そのものの硬さや強度を低下させ、骨折リスクを高めます。

④ 高血糖状態が AGE の形成を加速

血糖値が高いほど AGE が増えやすくなり、骨への影響も強まります。

■ AGE 蓄積を抑えるためにできること

多くの情報サイトでも紹介されているように、基本は以下の4つです。

  1. バランスの良い食事

  2. 適度な運動

  3. 良質な睡眠

  4. ストレス管理

ただし、「AGE の蓄積を確実に防げる」 と言い切るには、科学的な研究がまだ十分ではありません。当院でも最新知見を継続してリサーチしています。

■ 消費者として考える:AGE 対策製品への姿勢

近年、AGE を「取り除く」とうたう商品も見かけますが、現時点では科学的根拠が十分ではありません。もし「AGE を除去する水」などの製品が登場したら、私も試したくなるかもしれませんが、同時に 100 個ほど質問したくなる でしょう。
消費者として、根拠やメカニズムの説明を確認する姿勢はとても重要です。

■ まとめ

AGE は「体のサビ」と呼ばれ、骨粗鬆症を含む多くの健康問題に関与します。生活習慣の見直しは大切ですが、最新の科学を踏まえながら、無理のない形で取り入れていくことが重要です。当院でも、皆さまの健康維持に役立つ情報を今後も発信していきます。


Dr.EKO博士

医師・医学博士/産業医・PM&R研究医

整形外科専門医。スタンフォード大学研究医としてPM&R分野を研究後、現在は〈スラトレ®〉を中心に、ウェルネスと自己変容を支援するトレーニングおよびコンサルティングを提供中。上質な暮らしを望む方に向けた「YAEKOFU」では、人生を再設計する深い対話と伴走を行う。

▶︎ 株式会社ヤエコフやえこふクリニック