股関節機能の低下が膝・腰の痛みを招く理由──現代社会が見落とす重要課題

 

股関節機能の低下と膝・腰の痛み:現代社会が抱える健康課題

7月26日

当院のEKOフィジカル体操教室をご利用の方のうち、スポーツ選手を除くと、股関節機能が著しく低下している方がほとんどである現状が見受けられます。

現代社会の多様な生活様式により、多くの人々の股関節機能が著しく低下しています。

デジタル化が進み、快適な生活が可能になった一方で、私たちの「筋骨格系システム」の健康が無頓着になっているのです。この状況を改善するには、意識的に体を動かし、健康を取り戻す努力が必要です。

股関節の支持性不足は、膝関節痛や腰痛の主要な原因の1つとして広く考えられています。以下に、股関節の支持性と膝・腰の痛みの関連性について詳しく説明いたします。

股関節の重要な役割

股関節には主に二つの重要な機能があります:

  1. 支持性:体を支える機能。立位や歩行時に体重を支えます。
  2. 自由性:空間で足を自由に動かす機能。歩行時の足の前方への移動やスポーツ動作に必要です。

例えば歩行の時の遊脚期で足を一歩前に出す時です。足を一歩前に出す時と言う時は空間で股関節をしっかりと支持していきますので股関節を調整して歩幅を決めています。スポーツの場面においていえば、例えばサッカーでシュートをするときの足っていうのも自由性が必要になります。

股関節支持性と膝関節痛の関係

股関節の支持性低下は、以下のように膝関節に悪影響を及ぼします:

  1. 大腿骨の内旋:膝が内側に倒れ込み、異常な力がかかります。
  2. 膝蓋骨のアライメント不良:膝蓋大腿関節症候群などの痛みを引き起こす可能性があります。
  3. 衝撃吸収能力の低下:歩行や走行時に膝関節への負担が増大します。

股関節支持性と腰痛の関係

股関節の支持性不足は、腰部にも次のような影響を与えます:

  1. 骨盤の不安定性:腰椎に過度な負担をかけます。
  2. 代償動作:腰椎で股関節の機能を補おうとし、腰部への負担が増加します。
  3. 姿勢変化:腰椎の自然な湾曲が崩れる可能性があります。

メディカルトレーニングの重要性

股関節の支持性を向上させるメディカルトレーニングは、膝関節痛や腰痛の予防・改善に非常に効果的です。

以下のようなトレーニングが重要です:

  • 股関節周囲筋群の強化:特に中殿筋、大殿筋、腸腰筋の強化
  • バランス訓練:片脚立ちなどのエクササイズ
  • 柔軟性の向上:股関節周囲の可動域拡大
  • 機能的動作訓練:日常動作を意識した訓練

股関節の支持性向上を目的としたメディカルトレーニングで、膝関節痛や腰痛の原因に効果的にアプローチしていきましょう。

Dr.EKO博士

医師・医学博士/産業医・PM&R研究医

整形外科専門医。スタンフォード大学研究医としてPM&R分野を研究後、現在は〈スラトレ®〉を中心に、ウェルネスと自己変容を支援するトレーニングおよびコンサルティングを提供中。上質な暮らしを望む方に向けた「YAEKOFU」では、人生を再設計する深い対話と伴走を行う。

▶︎ 株式会社ヤエコフやえこふクリニック