四十路過ぎた女性が筋肉をつけるべき理由:筋肉は一生あなたを守ります


四十路過ぎた女性が筋肉をつけるべき理由:筋肉は生涯あなたを守り続けます

5月3日

まず、上の図が示しているように、全身筋肉量の加齢変化には明確な性差が存在します。

男性は、男性ホルモン(テストステロン)の低下とともに急激に筋肉量が減少していきますが、女性は 40代を過ぎても比較的ゆるやかなカーブで推移する のが特徴です。

これは、
男性は“単一ホルモン依存”の傾向が強いのに対し、女性は“複数の要因で筋肉量を維持する仕組み”が備わっている
ことが理由です。

つまり、女性にはもともと 「筋肉を守る力」 が備わっているのです。
これこそ “女性であること自体が大きなパワーの源である” と言える根拠の一つです。

40代女性にとって「筋肉」は美容ではなく“健康そのもの”

日本人女性にとても多いのが、
「体重」にとらわれるあまり、無理なダイエットを繰り返してしまうこと。

しかし、最新の研究では、

体重より筋肉。
筋肉が少ないほど、健康リスクは確実に高まる。

という事実が繰り返し示されています。

●“筋肉が少ない”ことが招くリスク

以下は、痩せ型サルコペニア・サルコペニア肥満が引き起こしやすい疾患です。

  • 糖尿病(インスリン抵抗性の悪化)

  • 高血圧

  • 脂質異常症(動脈硬化リスクの上昇)

  • 心筋梗塞・脳卒中

  • 脂肪肝

  • 睡眠時無呼吸症候群

  • 一部のがん

  • 変形性関節症

特に 「筋肉量が少ない × 肥満」=サルコペニア肥満 は、最も注意すべき病態です。

研究で明らかになった“筋肉の力”

私が大学院時代に行った研究が、医療ニュース(CareNet 2016年5月13日付)でも取り上げられました。

対象は 肥満女性92名
食事療法・運動療法・認知行動療法を組み合わせた介入プログラムを行ったところ、


🔍 体重は同じように減っても、筋肉を保てた人だけがインスリン抵抗性を改善した。


この結果は非常に重要で、

「痩せた」よりも「筋肉が維持できた」方が健康に直結する

という事実を示しています。

インスリン抵抗性とは、
“インスリンが効きにくくなり、血糖が下がりにくい状態”。

つまり糖尿病・高血圧・動脈硬化のスタート地点です。
ここを改善する力を、骨格筋そのものが持っていることが明らかになりました。

体重より「筋肉」を見る理由

筋肉が増えると、次のメリットがあります。

  • 基礎代謝が上がり、太りにくい体質に変わる

  • インスリン抵抗性が改善し、糖尿病リスクが下がる

  • 冷え・浮腫み・肩こりの改善

  • 姿勢が変わり、見た目が若返る

  • 代謝ホルモンの分泌が活発になる

  • 体脂肪が落ちやすくなる

体重は一番“簡単に変わる数字”です。
しかし、筋肉はあなたを一生守り続ける“健康資産”になります。

まとめ:四十路を過ぎた女性こそ「筋肉」。

30代後半から40代は、女性の身体が大きく変化を迎える時期です。
この時期に筋肉を育てることは、美容以上の価値があります。

  • 体重より筋肉が大切

  • 筋肉が少ないほど健康リスクが上がる

  • 体重が同じでも、筋肉がある人の方が圧倒的に健康

  • 女性の筋肉は守る力を持っている

  • 40代こそ“育てた筋肉”が一生の財産になる

どうか、数字(体重)ばかりにとらわれず、
「筋肉」というあなたの未来を守る資産 を大切にしてください。

🔗 引用元

  • CareNet医療ニュース

https://www.carenet.com/news/general/carenet/41939
  • 「肥満女性のインスリン抵抗性改善に骨格筋が重要」

https://pmc.carenet.com/?pmid=27126885
Dr.EKO博士

医師・医学博士/産業医・PM&R研究医

整形外科専門医。スタンフォード大学研究医としてPM&R分野を研究後、現在は〈スラトレ®〉を中心に、ウェルネスと自己変容を支援するトレーニングおよびコンサルティングを提供中。上質な暮らしを望む方に向けた「YAEKOFU」では、人生を再設計する深い対話と伴走を行う。

▶︎ 株式会社ヤエコフやえこふクリニック