皆さんの勘違い──健康情報を正しく見抜くために必要な視点


皆さんの勘違い

5月2日

「現代人すべてがプラークを予防したいと考えているかもしれません」
──前回の記事の補足として、今回は 「勘違いが生まれる仕組みと、その見抜き方」 を解説します。

健康情報は世の中にあふれていますが、実はその多くが誤解されやすい構造を持っています。
これを見抜く力をつけるために必要なのが 批判的吟味(クリティカル・シンキング) の姿勢です。

勘違いを見抜く力とは?

当院のメンタル思考トレーニング・Thriveトレーニング®では、
「思考のクセを知ること」 を非常に重視しています。

人は、

  • 聞き慣れた言葉

  • 周りの人が信じている情報

  • 自分にとって都合が良い話

に、驚くほど影響を受けやすいものです。

誤った情報との距離の取り方を知るためには、
正しい情報源・健全な人間関係・論理的な思考 が欠かせません。

よくある“健康情報の勘違い”事例

① バナナダイエットの誤解

過去に日本中でバナナが店頭から消えたほどのブームがありました。
本来は「生活改善のひとつの工夫」に過ぎないにもかかわらず、
人々は 「毎朝バナナ=痩せる」という短絡的な図式 を作ってしまったのです。

論理的に考えれば破綻していますが、
普段から論理的に考える習慣がない場合、誰でも誤解してしまいます。

② 「この水を飲めば治る」という誤解

「アトピーが治るらしい」「痩せるらしい」「肌が綺麗になるらしい」
という噂を聞いたことはありませんか?

もし本当にそんな水があるなら、
世界中の病気はすでに消滅しているはずです。

美味しいから飲むのは問題ありませんが、
科学的根拠のない宣伝や商法はトラブルの原因になります。

 “紛らわしい手法”に騙されないために

悪質な健康商法では、
次のような映像がよく使われます。

「錆びた鉄にその商品(飲み物)をかけると錆が落ちる」

これを見た人は

「体の錆も取れるかも?」

勝手に誤解してしまう仕組み です。

販売側は決して「体内の錆に効く」とは言っていません。
だから法律的にグレーゾーンになりやすいのです。

こうした手口を見抜くには 批判的吟味の力 が必須です。

科学的に正しい表現とは?

科学の世界では、断定はほとんど行いません。

正しい表現は、たとえば…

  • 「改善する可能性がある」

  • 「効果が示唆されている」

  • 「さらなる研究が必要である」

です。

当院のブログでも必ずこの姿勢を守っています。

「絶対に治る」「必ず効果がある」
という表現は科学的にありえません。

EKOフィジカルについても同じ姿勢です

もし私が

「EKOフィジカルだけで動脈硬化が必ず改善します」

と書いてしまうと、それは誤った結論です。

現時点で言えるのは、

“血管の機能を良くする可能性が示唆されている”

という、科学的に正しい表現だけです。

私自身は、
ストレッチや柔軟性向上が血管の健康に良い影響をもたらすことを
深く願っています。

しかし医学者として、
証明されていないことを断定しない姿勢 を徹底しています。

最後に:私の願い

健康情報の真偽を見抜く力は、
あなた自身を守る「人生の武器」になります。

健康診断を受け、
データを見ながらご自身を理解し、
正しく判断する力を育てていきましょう。


Dr.EKO博士

医師・医学博士/産業医・PM&R研究医

整形外科専門医。スタンフォード大学研究医としてPM&R分野を研究後、現在は〈スラトレ®〉を中心に、ウェルネスと自己変容を支援するトレーニングおよびコンサルティングを提供中。上質な暮らしを望む方に向けた「YAEKOFU」では、人生を再設計する深い対話と伴走を行う。

▶︎ 株式会社ヤエコフやえこふクリニック