中性脂肪とコレステロール、どちらが危険?動脈硬化との関係を医師が徹底解説(ご質問②)


ご質問② 中性脂肪と コレステロールはどちらがより注意なの?動脈硬化の原因になりやすいの?
3月3日

結論から申し上げますと、どちらも原因となります。どちらも注意が必要です。

学術的には、動脈硬化の原因として最も重要とされるのは、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)です。しかし、中性脂肪も動脈硬化の進行に関与しており、両者ともに重要な役割を果たしています。以下に詳細を説明します。

動脈硬化が進み最も恐れるべきは”プラーク”

プラーク(粥腫)は、動脈硬化の進行過程で血管壁に形成される病変です。以下にプラークの主な特徴を説明します:

プラーク(粥腫)の特徴
プラークは、血管の内膜にコレステロールやその他の脂質が蓄積して形成される塊です。

その形状や質感が「おかゆ」に似ていることから、「粥腫(じゅくしゅ)」とも呼ばれます。ベッタリと血管の内壁に付着します。

主にLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や白血球の一種であるマクロファージが沈着して形成されます。

プラークの形成過程

血管内皮細胞の損傷:高血圧や糖尿病などの刺激により、血管内皮細胞が傷つきます。

脂質の蓄積:傷ついた部分にLDLコレステロールなどの脂質が蓄積し始めます。

プラークの成長:時間とともに脂質の蓄積が進み、プラークが大きくなっていきます。

プラークの危険性
プラークは血管内腔を狭くし、血流を妨げる可能性があります。

不安定なプラークは破裂しやすく、破裂すると血栓を形成し、血管を完全に閉塞させる危険があります。

プラークの破裂と血栓形成は、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な疾患の直接的な原因となります。

LDLコレステロールの影響

LDLコレステロールはプラーク(粥腫)を形成する原因として広く認識されています。

LDLコレステロールが増えすぎると、血管壁の間に潜り込み、プラーク(粥腫)を形成します。

このプラークが血管内腔を狭め、動脈硬化を進行させ、進行すると、プラークの表面が破れて血栓を形成し、心筋梗塞や脳梗塞の直接的な原因となるメカニズムを前述しました。

中性脂肪の影響

中性脂肪もプラーク形成と動脈硬化の進行に関与しています。

中性脂肪が増えすぎると、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が減少します。

同時に、"超悪玉"と呼ばれる小型LDLコレステロールの増加を招きます。

小型LDLコレステロールは通常のLDLコレステロールよりも血管壁に入り込みやすく、動脈硬化のリスクを高めます。

相互作用

中性脂肪とLDLコレステロールは互いに影響し合い、プラークを形成し、動脈硬化のリスクを高めます。

中性脂肪が高い状態が続くと、LDLコレステロールが小型化し、より動脈硬化を引き起こしやすいタイプに変化します。

この小型LDLコレステロールは、通常のLDLコレステロールよりも動脈硬化を促進する効果が強いとされています。

結論

動脈硬化の原因としては、LDLコレステロールがより直接的で重要な要因とされていますが、中性脂肪も無視できない役割を果たしています。両者は相互に作用し、動脈硬化のリスクを高めるため、どちらも適切に管理することが重要です。健康的な生活習慣を維持し、定期的な健康診断を受けることで、両者のバランスを保つことが動脈硬化の予防につながります。

Dr.EKO博士

医師・医学博士/産業医・PM&R研究医

整形外科専門医。スタンフォード大学研究医としてPM&R分野を研究後、現在は〈スラトレ®〉を中心に、ウェルネスと自己変容を支援するトレーニングおよびコンサルティングを提供中。上質な暮らしを望む方に向けた「YAEKOFU」では、人生を再設計する深い対話と伴走を行う。

▶︎ 株式会社ヤエコフやえこふクリニック