「一人の専門家では解決しない」——複数施設を組み合わせる上手な医療の使い方

この記事のポイント:病院・整骨院・ジム・カウンセリング——それぞれの専門家を「それぞれ別個」に利用していませんか。欧米トップクラスのプロチームでは、複数専門家の連携が常識です。新年の健康設計として、複数施設を戦略的に組み合わせる「上手な医療の使い方」を、医師の視点から整理します。

「どれか1つ」では解決しない時代

現代の健康課題は、単一の専門家では解決できない複雑さを持っています。

  • 腰痛は、筋力×姿勢×ストレス×生活習慣の複合問題
  • 不眠は、身体×心×環境×思考の複合問題
  • 慢性疲労は、栄養×運動×睡眠×メンタルの複合問題

これらに対して、「整形外科だけ」「カウンセリングだけ」「ジムだけ」では対処しきれないケースが多いのです。

欧米トップクラスのプロチームの常識

参考になるのが、スタンフォード大学スポーツ診療科などの多職種連携モデルです。

一人の選手に対する典型的なチーム

  • PM&R医師(総監督役)
  • 整形外科医
  • 理学療法士
  • ストレングスコーチ
  • 栄養士
  • スポーツ心理専門家
  • 睡眠専門家

これだけの専門家が1人の選手の情報を共有し、統合的にアプローチします。「心の力を借りることの重要性」は、欧米のトップクラスのプロチームでは常識となっています。

日本の医療の現状——「分断」が生む非効率

一方、日本の医療現場では次の現象が起きています。

情報が繋がらない

  • 整形外科の診断結果が整骨院に伝わらない
  • カウンセラーが患者の身体症状を知らない
  • ジムのトレーナーが既往症を把握していない
  • 医師同士でさえ、他院の処方を把握していないことがある

患者自身が調整役を担わされる

結果として、患者自身が各専門家の間を行き来して情報を伝える役割を担うことになります。これは医学的知識を持たない消費者にとって大きな負担です。

「心と身体のセットケア」という新常識

現代の健康管理で最も重要なのは、心と身体を分離して扱わないことです。

  • 身体を鍛える(運動)
  • 身体を治す(医療)
  • 身体を整える(リラクゼーション)

これらに加えて、「早く治したい」「復帰したい」「向上したい」という願いを支える心のケアが不可欠です。

スタンフォード大学で確立された心身統合のアプローチは、アスリートだけでなく、経営者・医師・一般のビジネスパーソンにも応用可能です。

複数施設を組み合わせる5つの戦略

戦略1:「主治医」を1人決める

全体を把握してくれるハブとなる医師を1人決める。かかりつけ医、統合医療に理解のある医師、予防医学の医師など。他の専門家の情報はこの主治医に集約します。

戦略2:受診時に「他で何をしているか」を必ず伝える

新しい専門家に行くとき、必ず以下を伝える習慣をつける:

  • 現在通っている他の医療機関
  • 服用中の薬(市販薬・サプリ含む)
  • 受けている施術(整骨院・整体など)
  • 運動習慣(ジム・ヨガなど)
  • 心のケア(カウンセリング・瞑想など)

戦略3:情報共有の「お薬手帳」的な仕組みを自分で作る

日本には統一的な医療情報共有システムがありません。そこで、自分で「健康管理ノート」を作る。紙でもアプリでも可。各専門家への訪問時に持参すれば、連携の土台になります。

戦略4:専門家同士の「連絡許可」を出す

「A医師とB理学療法士で情報共有していただきたい」と自分から申し出る。日本の医療は患者の明示的な許可があれば連携が可能な場合が多い。

戦略5:3ヶ月ごとに「チーム全体」を見直す

現在のチーム構成で、成果が出ているか、抜けがないか、重複がないかを3ヶ月ごとに振り返る。惰性で通い続けていないか、新しい専門家が必要ではないかを点検します。

理想的なチーム構成(例)

経営者・リーダーのための典型的な健康チームの例:

  • 主治医(かかりつけ医):年1〜2回の総合診断
  • 整形外科医:運動器の定期点検(年1〜2回)
  • 運動指導者:継続的な運動処方
  • 栄養アドバイザー:食事設計(必要時)
  • 心のケア担当:思考トレーニング or カウンセリング
  • 歯科医:半年ごとの定期ケア

この中で「全体を俯瞰する人」を1人持つことが、チーム全体の成果を左右します。

新年の健康設計——チームを見直す絶好のタイミング

1月は、1年の健康チームを再設計する最適な季節です。次の問いに答えてみてください。

  • 今のチームに「全体を見る人」はいるか
  • 各専門家の間で情報が共有されているか
  • 惰性で通い続けている施設はないか
  • 不足している専門家領域はないか
  • 今年特に強化したい健康テーマに合う専門家はいるか

これらの問いを整理することで、新年の健康戦略が具体化します。

まとめ——「離れていても心は1つ」の健康チームを作る

  • 現代の健康課題は単一専門家では解決しない
  • 欧米トップクラスは多職種連携が常識
  • 日本では患者自身が調整役を担うしかない現実
  • 心と身体のセットケアが新常識
  • 主治医+情報共有+3ヶ月ごとの見直しが鍵

健康は、一人の専門家に「お任せ」するものではなく、自分を中心としたチームで作り上げるものです。新年の健康設計として、自分のチーム構成を一度書き出してみませんか。


※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・診断の代替ではありません。症状がある場合は、必ずかかりつけ医または専門医にご相談ください。

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最終更新:2026年4月

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Dr.EKO博士

Dr.EKO博士(YAEKOFU)

医師・医学博士 / やえこふクリニック院長

医師として保険診療の現場に立ちながら、ある問いが消えませんでした。「今出ている不調を取り除くだけで、その人は本来の自分に戻れているのか」。スタンフォード大学でEIを学び、分子栄養療法・スラトレ®を統合した独自のアプローチを確立。完全自費・マンツーマンで、エグゼクティブ・医師・リーダーの「本来の自分への回復」を支援しています。

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