ジムも整骨院も効かないとき見直したい「心と身体のセットケア」という発想

この記事のポイント:リハビリに取り組み、ジムにも通い、休日も適度にリフレッシュしている。それなのに、どこか回復しきれない感覚がある。その原因は、身体のケアだけで心を置いてけぼりにしていることかもしれません。身体と心を同時に整える「セットケア」の考え方を、整形外科医の視点から整理します。

「身体はケアしているのに、回復しきれない」——その感覚の正体

こんな経験はありませんか。

  • 手術後のリハビリに真面目に取り組んでいるのに、元の状態に戻りきらない
  • ジムに週2〜3回通っているのに、疲労感が抜けない
  • 週末にしっかり休んでいるのに、月曜の朝が憂鬱
  • 温泉や旅行でリフレッシュしたはずなのに、戻ると一気に疲労感が戻る

心当たりのある方は、少なくないはずです。

その感覚の正体は、身体のケアだけで心を置いてけぼりにしていることかもしれません。

身体が怪我をしたとき、心も一緒に怪我をしている

整形外科医として多くの患者さんに関わってきた経験から言えるのは、身体に怪我を負ったとき、実は心も一緒に怪我をしているケースが多いということです。

怪我をきっかけに起こる心の変化は、本人にしかわからないことが多いものです。

  • スポーツ選手が競技復帰への恐怖心からチームとの連絡を避けるようになる
  • 担当医から「大丈夫」と言われても不安が消えない
  • 「また悪くなるのでは」という予期不安で動きが縮こまる
  • リハビリが思うように進まず、自分を責めてしまう

これはスポーツ選手に限った話ではありません。健診で「要注意」と言われた経営者、腰痛で長く悩んでいる方、肩こりが慢性化している方——あらゆる人に当てはまる「心まで疲れてしまった状態」です。

なぜ「身体だけ」「心だけ」では回復しきれないのか

現代では、不調があると「行動」でアプローチする傾向があります。

  • 術後の方 → 身体のリハビリに集中する
  • スポーツをしている方 → 練習とトレーニング量を増やす
  • 忙しい方 → 休暇を取り、旅行や美食でリフレッシュする

どれも大切な行動です。しかし、これらの共通点は「身体の外側から整える」アプローチだということです。

一方で、身体を壊したときのショック、落ち込んだ日々の記憶、モチベーションの低下、人間関係の疎遠——こうした心の側面は置いてけぼりになりがちです。外側をいくら整えても、内側に置き去りにされた感情があれば、本当の回復には届きません。

「セットケア」とは何か——身体と心を同時に整える発想

セットケアとは、身体へのアプローチに「心の整理」を組み合わせる統合的な考え方です。

術後リハビリ中の方の場合

身体のリハビリと同時に、怪我をしたときの気持ちを言語化する。「怖い」「悔しい」「情けない」といった感情を、否定せずに受け止める時間を作る。これだけでリハビリの進み方が変わることがあります。

トレーニングをしている方の場合

練習メニューに加えて、思考の癖や感情の浮き沈みにもアプローチする。試合前の不安、結果が出ないときの焦り、仲間との比較——こうした心のノイズを整理することで、身体のパフォーマンスが発揮しやすくなります。

忙しくてセルフケアの時間がない方の場合

旅行や食事などの気晴らしに出かける前に、5分でも心を整える時間を持つ。これだけでリフレッシュの質が大きく変わります。身体を動かす前に、頭の中を空にする——この順番が重要です。

セットケアを始める第一歩

セットケアを始めるのに、特別な道具や施設は必要ありません。最初のステップは、「もしかして心も疲れているかも?」と自分で気づくことです。

次のようなチェックリストで、心の状態を点検してみてください。

  • 身体のケアは続けているが、気持ちの切り替えができていない
  • 「休めているはず」なのに、疲れが抜けない
  • 自分の不調について、誰かに話した記憶が最近ない
  • 怪我や不調をきっかけに、人との関わりを減らしている
  • 「もう治らないのでは」という予期不安がある

2つ以上当てはまる方は、身体のケアに加えて心のセットケアを取り入れる意味があるかもしれません。

健診のあとは、身体と心の両方を見直すタイミング

健診の結果を受け取った後は、身体の数値を見直す絶好の機会です。しかし、数値以上に大切なのが「数値の向こうにある心の状態」です。

大きな怪我や身体の故障・不調に至る前に、勇気ある一歩を踏み出してみませんか。身体と心は分けられないセット。どちらか一方だけを整えようとしても、本当の健康にはたどり着けないのです。


※本記事は情報提供を目的としており、医療行為・診断の代替ではありません。体調やメンタル面に強い不安がある場合は、かかりつけ医・精神科・心療内科などの専門医療機関にご相談ください。

▶ 関連情報
「健診のあと」ブログでは、経営者・医師・アスリート向けに健康と思考の両面から情報を発信しています。トップページから他の記事を見るDr.EKOへの初回面談のご予約・お問い合わせはこちら

最終更新:2026年4月

この記事をシェア

Dr.EKO博士

Dr.EKO博士(YAEKOFU)

医師・医学博士 / やえこふクリニック院長

医師として保険診療の現場に立ちながら、ある問いが消えませんでした。「今出ている不調を取り除くだけで、その人は本来の自分に戻れているのか」。スタンフォード大学でEIを学び、分子栄養療法・スラトレ®を統合した独自のアプローチを確立。完全自費・マンツーマンで、エグゼクティブ・医師・リーダーの「本来の自分への回復」を支援しています。

関連記事

読み込み中...